川崎病は、日赤中央病院の医師であった川崎富作氏が1967年に症例を発表し、川崎病と名づけられた病気です。
小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)とも呼ばれる病気ですが、世界的に川崎病(Kawasaki Disease)と呼ばれています。
川崎病は、日本だけでなく、世界中で発症が認められる病気ですが、主にアジア諸国での発症が多く、欧米での発症は少ない病気です。
川崎病は、4歳以下の幼児に発症率が高い疾患で、全身の血管に炎症を起こす病気といわれています。
また、川崎病の発症率は男児のほうが若干多く、4歳以下の幼児の発症率が全体の約80%で、特に1歳前後が多いといわれています。
川崎病は、発熱や頸部のリンパ節が腫れるなどのさまざまな症状をともない、発症しますが、全身の臓器に炎症性の病気を併発するという、とても怖い病気です。
関節炎や髄膜炎、胆のう炎をはじめ、全身のさまざまな部位に炎症を起こすことがあります、そして川崎病の最も恐ろしいといわれていることは、心筋と呼ばれる心臓の筋肉や、心臓を包む膜である心膜、心臓の弁、そして冠動脈に炎症が起こることです。
冠動脈に炎症が起こることによって、冠動脈の拡大や冠動脈瘤が引き起こされ、冠動脈に障害が残る場合もあり、その場合には、川崎病自体が治っても、冠動脈の障害に対する治療や投薬を受け続けなければなりません。
冠動脈の炎症による冠動脈の拡大や冠動脈瘤の発症は、川崎病発病後、早期に治療を行なうことで、発症率が低下するといわれています、そのため、川崎病は早期に正しい診断がなされ、早期に治療を受けることが望ましいとされています。
川崎病には特徴的な症状が6つあります、この6つの症状のうち、5つ以上の症状が認められると、川崎病と診断されます。
ここでは、川崎病の特徴的な症状について1つずつ述べてみたいと思います。
まず、川崎病の1つめの特徴は、原因不明の発熱が5日以上続くことです、このときの発熱は高熱である場合が多く見られます。
川崎病の2つめの特徴は、両方の眼が赤く充血します、この際、眼球の充血だけで目やになどの症状はありません。
川崎病の3つ目の特徴は、手足の先が赤くなったり、堅くなって腫れたりします、この赤みや腫れが引くときに、指の先から皮がむけるという特徴があります。
川崎病の4つ目の特徴は、身体に不定型発疹といわれる赤い発疹があらわれます。
川崎病の5つ目の特徴は、口唇が赤くなり、舌がイチゴのように赤く腫れ上がるイチゴ舌になり、口の中やのどの粘膜が赤く腫れ上がります。
そして、川崎病の6つ目の特徴は、頸部のリンパ節が腫れ上がります、この腫れには痛みがないことが特徴です。
これらの症状が5つ以上揃うと川崎病と診断されますが、4つの症状が現れた場合でも、検査によって心臓に冠動脈瘤が見つかった場合には、川崎病と認定されます。
川崎病は、4歳以下の幼児に発症することが多い病気で、比較的男児の発症が多いという統計が出ています。
4歳以下の幼児が、原因不明の熱が続く場合には、川崎病のその他5つの症状が出ていないか、気をつける必要があります。
川崎病の原因とはいったいどういうものなのでしょうか?
川崎病の原因は、発見から40年以上経つ現在でも、いまだに特定されていません、川崎病の発症は、近年増加傾向にあり、2006年、2007年ともに、川崎病を発症した人数は1万人を超えています。
川崎病の原因究明が待たれる中、原因は不明とされながらも、原因ではないかといわれている要因がいくつか挙げられています。
ここでは、諸説ある川崎病の原因ではないかといわれている事項について述べてみたいと思います、ただし、あくまでも、川崎病の原因として特定された事項ではないということをご了承いただければと思います。
川崎病の原因として、溶連菌やサンギス菌、エルシニア菌などの細菌やダニなどが原因であるという、感染症が原因であるとする説があります。
そのほかにもアレルギーが原因である、兄弟での発症もあることや流行があることなどから免疫が関係しているという説もあります。
また、日本人をはじめ、アジア諸国では発症率が高く、欧米での発症率が低いことから遺伝が関係しているという説もあります。
川崎病については、さまざまな研究機関が原因究明のための研究や調査を重ね、さまざまな原因説が挙がりながらも、現在も川崎病の原因の特定には至っていません。
早期に川崎病と診断され、適切な治療を受ければ、後遺症は回避される可能性が高く、現在では、早期の診断と治療が一番とされています。
治療法こそ確立されつつありますが、4歳以下の幼児の発症率が高く、症状も重く、治療が遅れると重い後遺症を患ってしまう川崎病は、一日も早い原因究明が切望されています。
川崎病と診断された場合、どのような治療が行なわれるのでしょうか。
ここでは、川崎病と診断されたあとの、具体的な治療について説明したいと思います。
川崎病と診断された場合、入院による治療が行なわれます、川崎病を発症すると、発熱や身体のいろいろな部位で炎症が起こるため、解熱効果と血栓予防効果のあるアスピリンを投与します。
アスピリンの投与によって、続いていた高熱が下がり、血栓予防効果により、血液が固まりにくくなります。
川崎病の合併症で、一番恐ろしいとされる、冠動脈瘤を予防するために効果的な、ガンマグロブリンという薬を大量に投与します。
ガンマグロブリンは、人間の血液中の血清から、さまざまなウイルスの抗体を取り出したもので、たとえばはしかが流行したときに、ガンマグロブリンを筋肉注射により投与すると、ガンマグロブリン内に含まれるはしかの抗体が作用し、はしかに感染しないまたは、はしかに感染しても軽症ですみます。
川崎病の治療の場合には、このガンマグロブリンを静脈から大量に投与する、ガンマグロブリン大量静注療法が取られます、この際に用いられるガンマグロブリンは、静脈を通して点滴で投与するために開発された静脈注射用ガンマグロブリン製剤が用いられます。
早期に治療を行った場合、主に上記2種類の薬の投与によって、川崎病の症状は快方に向かい、合併症である冠動脈瘤の発症も抑えられます、
発症から7日以内の早期にガンマグロブリンの大量静注療法がなされた場合には、川崎病の合併症である、心血管障害である、冠動脈の病変率を15%以下に抑えることができるといわれています。
川崎病の診断や治療のためのガイドラインが作られています。
川崎病の原因は残念ながらまだ特定されていませんが、治療法は確立されている病気なので、適切な診断と早期の治療で合併症などの発症を抑えることができます。
川崎病の患者さんの症状から、適切に川崎病であると診断することが、川崎病の合併症を防ぐ大切なポイントとなります、そのためにも、医療関係者用の川崎病のガイドラインは大変重要なものとなります。
川崎病のガイドラインは、「川崎病急性期治療のガイドライン」、「川崎病の心血管発症に対する診断と管理のガイドライン」、「川崎病における診断ガイドラインの改定(第5回改訂版)」、「循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2001-2002年合同研究班報告)川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン」など、いくつものガイドラインが作られています。
これら川崎病のガイドラインは、医師や研究機関など、主に医療関係者向けに作られたガイドラインであり、その内容もとても専門的な内容となっています。
最近、さまざまな病気のガイドラインが作られていますが、医療関係者向けだけではなく、一般の人向けにわかりやすく解説したガイドラインもあわせて発行する機関も増えてきています。
残念ながら、川崎病に関しては、そういった一般の人向けのガイドラインはまだ作られていないようです。
川崎病は早期の診断、早期の治療が重要な病気ですので、川崎病に関する情報がもっと幅広く公開され、一般の人が今以上に川崎病に関する正しい知識を持つことも大切であると思われます。
そのためにも、一般の人向けの川崎病ガイドラインの発行が待たれています。
川崎病は、6つの特徴的な症状のうち、5つ以上が認められた場合川崎病と診断されます。
その6つの特徴的な症状とは、①原因不明の高熱が5日以上続く、②両方の眼球が赤く充血する、③手足の先が赤くなる、堅くなって腫れる、④身体に不定型発疹といわれる赤い発疹がでる、⑤口唇が赤くなり、イチゴ舌になり、口の中やのどの粘膜が赤く腫れ上がる、⑥頸部のリンパ節が腫れる、の6つです。
医師は患者の症状から、川崎病の症状に該当するものを判断し、上記6つの症状のうち5つ以上認められた場合に、川崎病と診断をします。
また、これら6つの症状のうち、4つの症状が認められ、心臓の冠動脈になんらかの異常があり、それらの原因として他の病気の可能性がない場合にも、川崎病と診断されます。
それでは、不全型の川崎病とはどういったものなのでしょうか。
不全型の川崎病とは、川崎病の6つの特徴的な症状のうち、4つの症状が認められ、その症状の原因として他の病気の可能性がない場合、また、3つの症状が認められ、心臓の冠動脈になんらかの異常があり、それらの原因として他の病気の可能性がない場合のことをいいます。
不全型の川崎病の患者さんの数も多く、不全型であっても早期に適切な治療が行なわれないことにより、川崎病で恐ろしいとされている、冠動脈の拡大や冠動脈瘤の発症などの後遺症が出てしまう可能性もあります。
川崎病の条件ともされる症状の数が少ないことから、川崎病との診断が遅れることもあり、不全型の川崎病も川崎病と同等に危険な病気といわれています。
川崎病の後遺症として、川崎病心血管後遺症という病気があります、これは、川崎病を発症した際、合併症を併発し、心臓の冠動脈になんらかの障害が残った場合のことをいいます。
川崎病をわずらうと、全身の血管が炎症するという症状を発症します、その際に、心臓の冠動脈にも炎症が起こる可能性が高く、冠動脈に炎症が起こることで、冠動脈が拡大したり、冠動脈瘤ができたりします。
川崎病心血管後遺症という病気は、川崎病が原因で、そのような症状がでていることをいいます。
冠動脈瘤ができると、血液の流れが妨げられ、急性心筋梗塞の原因になる場合があります、また、冠動脈瘤が大きい場合には、心臓の弁を血液が通過しにくくなる狭窄という状態を引き起こす可能性が高くなります。
川崎病の後遺症の冠動脈瘤のため、心筋梗塞や狭心症の症状が出てしまうという場合もあるのです。
いまだに原因不明の川崎病で、早期診断、早期治療が推奨され、治療法が確立されているのは、治療が遅れることで、こういった重い後遺症を患うことを避けるためです。
川崎病を患い、心臓の冠動脈になんらかの障害が残った場合には、川崎病の患者さんは定期的に検査を受ける必要があります。
日常生活に特に異常がみられなかったとしても、川崎病の後遺症による冠動脈瘤が原因で、心臓疾患で亡くなる患者さんもいるので、定期的な検査は欠かせないものとなります。
川崎病の後遺症については、「循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2001-2002年合同研究班報告)川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン」のように、ガイドラインも作られています。
川崎病と診断され、治療を受け、完治にいたった場合、川崎病は再発する可能性はあるのでしょうか?
川崎病の再発例は認められています、2000年に行なわれた川崎病の再発に関する調査結果では、川崎病の患者さんの3.2%に再発が認められたという報告がなされています。
また、川崎病が再発する時期は、川崎病発症から1年以内に再発することが多いということです。
川崎病は4歳以下の幼児に発症することが多い病気ですが、再発する患者さんは、発症した年齢が低い患者さんが多いという結果も報告されています。
また、川崎病により、心臓の冠動脈に冠動脈瘤などの後遺症が残ってしまった患者さんのほうが、後遺症が残らなかった患者さんよりも再発する確率が高いそうです。
川崎病と診断されると、合併症である、冠動脈瘤が防ぐために、ガンマグロブリンを大量に投与します。
ガンマグロブリンは、人間の血液中の血清から、さまざまなウイルスの抗体を取り出したもので、川崎病の治療には、ガンマグロブリン大量静注療法が取られています。
この治療の際、ガンマグロブリンの投与量が多かった患者さんの川崎病の再発率も高いという報告がなされています。
最初に川崎病をわずらったときに心臓の冠動脈に冠動脈瘤などの後遺症が残らなかった患者さんでも、川崎病を再発した場合、後遺症が残る確率が高くなるといわれています。
また、川崎病における致命率は、最初に川崎病をわずらった患者さんでは全体の0.3%といわれていますが、再発した場合の致命率は0.9%と高くなるという結果が報告されています。
川崎病は発症時に、原因不明の高熱、眼球の充血、手足の腫れ、全身の発疹、イチゴ舌や口の中やのどの粘膜の腫れ、頸部リンパ節の腫れなど、さまざまな症状を引き起こします。
川崎病を発症する患者さんは4歳以下の幼児が多く、患者さんも患者さんを見守る家族にとっても、川崎病はとてもつらいものです。
小児看護の専門誌でも、「川崎病の子供と家族への看護」という特集が組まれ、川崎病のトータルケアについて記述がなされています。
川崎病はいまだに原因が特定されない病気です、小さなお子さんが急に川崎病の諸症状を併発し、川崎病と診断された場合、川崎病をわずらっているお子さんがつらいのはもちろんですが、それを見守る家族も不安でつらいものです。
特に川崎病が原因不明であること、心臓に冠動脈瘤などの後遺症が残る可能性もあるという説明を受けたときの、ご家族が受けるショックははかり知れないものです。
医療現場における川崎病の看護は、川崎病の患者さん本人だけでなく、家族のケアにも及ぶといわれています。
川崎病は入院期間も長く、最低でも1ヶ月は入院することになります、患者さんの症状によってはもっと長期になることもあります。
川崎病の治療にはガンマグロブリン大量静注療法が用いられるため、川崎病の患者さんは大量の点滴を受ける必要があり、そのほか、川崎病の症状に対処するための治療も行なわれるため、特に幼児にとってはつらい治療となります。
そういった治療のつらさを軽減させるよう、看護する必要もあります、そして、そういった治療を見守る家族に対して、理解を求め、不安を解消するように努めるという看護も必要となってくるのです。
川崎病を発症した場合、心臓に冠動脈瘤ができていないか、心断層エコー図という検査方法で検査を行ないます。
心断層エコー図の検査は、超音波を用いて行なう検査で痛みもなく、冠動脈瘤の有無、心臓全体の状態などを映し出すことができ、患者さんの負担はほとんどといっていいほどありません。
また、心電図による検査も行なわれ、心臓に障害がないか、不整脈が出ていないかなどを検査します。
川崎病の症状が重く、冠動脈瘤が確認されている患者さんは、心カテーテル検査という、足の付け根の部分からカテーテルを血管の中に挿入し、そのカテーテルを心臓の冠動脈まで入れ、造影剤を注入して冠動脈の状態を確認するという検査が行なわれることもあります。
川崎病を発症し、心臓の冠動脈に後遺症が残った場合には、患者さんは定期的に心臓の検査を受ける必要があります。
心臓の冠動脈瘤は、大きくなると急性心筋梗塞を引き起こす原因になり、狭心症などの症状を引き起こすこともあります。
川崎病が確認された当初は、川崎病の原因が不明ということもあり、こういった大きな後遺症について着目されていない時期がありました。
そのため、川崎病の病後に、心臓疾患で亡くなる患者さんもいらっしゃいました、現在では、川崎病の後遺症について研究がなされ、「川崎病の心血管発症に対する診断と管理のガイドライン」、「循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2001-2002年合同研究班報告)川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン」のように、心臓の後遺症に対するガイドラインも作られています。
川崎病心臓血管後遺症とも言われる病気を抱えた患者さんは、定期的に心臓の検査を受け続ける必要があるのです。